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犬と猫、麻酔で血圧低下!緊急時に使う薬の違いとは?

Posted on 2026年3月30日

4. 麻酔中の血圧モニタリングと低血圧の診断

麻酔中の血圧モニタリングは、低血圧の早期発見と適切な介入のために不可欠です。正確な血圧測定と、低血圧の明確な診断基準を理解することが重要です。

4.1. 血圧測定法

獣医療で一般的に用いられる血圧測定法には、非観血的血圧測定(NIBP)と観血的血圧測定(IBP)があります。

4.1.1. 非観血的血圧測定(Non-Invasive Blood Pressure; NIBP)

最も一般的に使用される方法で、麻酔中のルーチンモニタリングに広く利用されています。
オシロメトリック法:
原理: カフを膨張・収縮させる過程で、血管壁の振動(オシレーション)をセンサーが検知し、特定のアルゴリズムに基づいて収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧を算出します。
利点: 比較的簡便で、心拍数も同時に測定できることが多いです。近年では精度が向上しています。
欠点: 測定部位(肢の太さ)、カフのサイズ、動物の動きや震え、不整脈などによって測定誤差が生じやすいです。特に小型犬や猫では正確な測定が難しい場合があります。低血圧が重度になると、測定自体が困難になることがあります。
推奨: カフの幅は肢周の40%程度が理想とされています。適切に装着しないと誤った値が出やすいので注意が必要です。
ドップラー法:
原理: カフを膨張させ、下流に置いたドップラープローブで血流音を検知します。カフの圧力を徐々に下げていき、血流音が再開した時点の圧を収縮期血圧として測定します。拡張期血圧は測定できません。
利点: 猫や小型犬、低血圧状態でも比較的測定しやすいとされています。連続的な血流音のモニタリングが可能で、末梢灌流の指標にもなります。
欠点: 収縮期血圧しか測定できず、平均動脈圧や拡張期血圧は推定値となります。手動での操作が必要で、測定に時間がかかる場合があります。
推奨: 聴診器と併用することでより正確な収縮期血圧を把握できます。

4.1.2. 観血的血圧測定(Invasive Blood Pressure; IBP)

動脈内にカテーテルを留置し、圧トランスデューサーを介して血圧を直接測定する方法です。
原理: 動脈内の圧力をリアルタイムで連続的に測定し、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、心拍数を正確に表示します。
利点: 最も正確で信頼性の高い血圧測定法です。血圧のわずかな変化もリアルタイムで把握でき、動脈血ガス分析のための採血も可能です。
欠点: 侵襲的な手技であり、カテーテル挿入には技術と経験が必要です。感染、血栓形成、出血、神経損傷などの合併症のリスクがあります。麻酔下での実施が一般的であり、導入には時間がかかります。
推奨: 重症患者、長時間の手術、低血圧のリスクが高い患者、詳細な心血管モニタリングが必要なケース(例:心臓手術、ショック状態)に推奨されます。一般的には中枢動脈(例:大腿動脈、背側足底動脈)にカテーテルを挿入します。

4.2. 低血圧の診断基準

獣医麻酔学において、一般的に麻酔中の低血圧は以下の基準で診断されます。
平均動脈圧(Mean Arterial Pressure; MAP)が60 mmHg未満
収縮期血圧(Systolic Blood Pressure; SBP)が80 mmHg未満

拡張期血圧(Diastolic Blood Pressure; DBP)も重要ですが、MAPとSBPがより直接的に臓器灌流圧の指標として用いられます。MAPが60 mmHgを下回ると、特に腎臓や脳などの重要臓器への血流灌流が不十分になるリスクが高まります。低血圧は、数値だけでなく、その持続時間や患者の臨床徴候(例:粘膜蒼白、毛細血管再充填時間延長、尿量減少)と合わせて総合的に評価することが重要です。

4.3. モニタリングの頻度と適切な設定

麻酔中の血圧は、麻酔導入から覚醒まで継続的にモニタリングする必要があります。
ルーチンモニタリング: 5分ごとに測定することが推奨されます。
重症患者やリスクの高い患者: 観血的血圧測定による連続モニタリング、あるいは非観血的血圧測定の頻度を上げる(1~3分ごと)ことが望ましいです。
血圧が不安定な場合: 頻繁な測定を行い、変化に即座に対応できるようにします。

モニターのアラーム設定を適切に行い、低血圧が検出された際に速やかに警告が発せられるようにすることも重要です。

正確な血圧モニタリングは、麻酔管理の質を向上させ、患者の安全を確保するための基盤となります。測定値の信頼性を常に評価し、必要に応じて異なる測定法を併用したり、測定部位を変更したりする柔軟な対応が求められます。

5. 麻酔時低血圧に対する初期対応と輸液療法の原則

麻酔中の低血圧が発生した場合、速やかに原因を特定し、適切な初期対応を行うことが不可欠です。初期対応は通常、麻酔深度の調整、換気の最適化、体位変換、そして輸液療法から始まります。

5.1. 初期対応のステップ

5.1.1. 麻酔深度の評価と調整

最も一般的な低血圧の原因の一つは、麻酔深度が深すぎることです。
麻酔深度の評価: 心拍数、呼吸数、眼球反射、瞳孔径、筋緊張、鎮痛の程度などを総合的に評価し、麻酔が深すぎないかを確認します。
麻酔薬の減量: 麻酔が深すぎると判断された場合、吸入麻酔薬の濃度を下げたり、静脈麻酔薬の点滴速度を減らしたりします。同時に、疼痛刺激に対する十分な鎮痛が行われているかを確認し、必要であれば鎮痛薬の追加を検討します。

5.1.2. 換気の最適化

過剰な陽圧換気は静脈還流を妨げ、心拍出量を低下させ、低血圧を引き起こすことがあります。
換気設定の見直し: 一回換気量やPEEP(呼気終末陽圧)が高すぎないか確認し、必要であれば調整します。
高炭酸ガス血症の是正: 高炭酸ガス血症は血管拡張を引き起こし、低血圧を悪化させる可能性があります。換気を適切に行い、EtCO2(呼気終末二酸化炭素濃度)を正常範囲(35-45 mmHg)に保ちます。

5.1.3. 体位変換

特定の体位(例:背位、頭部を下げる体位)は、静脈還流を妨げたり、大動脈や大静脈を圧迫したりして、低血圧を悪化させる可能性があります。
体位の見直し: 必要であれば体位を調整し、静脈還流を改善させます。

5.1.4. 体温管理

低体温は麻酔からの覚醒遅延だけでなく、心筋抑制、徐脈、血管収縮能の低下を引き起こし、低血圧を悪化させます。
保温: 加温マット、加温輸液、保温ブランケットなどを用いて体温を維持します。

5.2. 輸液療法の原則

循環血液量の減少は低血圧の一般的な原因であり、輸液療法は初期対応において極めて重要です。輸液の種類、量、速度を適切に選択することが、効果的な治療の鍵となります。

5.2.1. 輸液の種類と選択基準

結晶性輸液(Crystalloids):
例: 乳酸リンゲル液(Lactated Ringer’s Solution; LRS)、生理食塩水(0.9% NaCl)、酢酸リンゲル液など。
特徴: 電解質組成が細胞外液に近く、血管内から間質へ容易に移行します。比較的安価で広く利用されます。
適応: 脱水、維持輸液、低血圧の初期治療。循環血液量を増やすためには、投与量の約25%しか血管内に残らないため、多量の投与が必要です。
投与量: 低血圧の緊急時には、犬で10-20 mL/kg、猫で5-10 mL/kgを10-15分かけて急速静脈内投与(ボーラス投与)し、循環反応を評価します。必要に応じて繰り返しますが、過剰な輸液は肺水腫や心負荷増加のリスクを高めるため注意が必要です。
膠質性輸液(Colloids):
例: ヒドロキシエチルスターチ(HES)、デキストラン、アルブミン(犬血漿由来など)。
特徴: 高分子物質を含み、浸透圧を高く保つことで血管内から間質への水分移動を抑制し、血管内ボリュームを効率的に増加させます。
適応: 低アルブミン血症、重度の低血圧、ショック、出血。血管内ボリュームを迅速かつ効果的に補充したい場合に有効です。
投与量: 犬で2-5 mL/kg、猫で1-3 mL/kgを10-20分かけてボーラス投与し、循環反応を評価します。HESの使用には急性腎障害のリスクや凝固系への影響が報告されているため、その使用は慎重に行うべきです。アルブミン製剤もアレルギー反応のリスクがあります。
最近の動向: 重症動物医療において、HESの安易な使用は推奨されなくなりつつあります。代わりに、クリスタロイドの適切な使用と、アルブミン製剤の選択肢が検討される傾向にあります。

5.2.2. 輸液速度と目標

輸液療法は、循環血液量の不足が低血圧の主因である場合に最も効果的です。心筋抑制や血管拡張が主因である場合は、輸液のみでは限界があり、昇圧剤の併用が必要になります。
目標:
平均動脈圧(MAP)を60 mmHg以上、収縮期血圧(SBP)を80 mmHg以上に維持する。
粘膜色、毛細血管再充填時間(CRT)、心拍数、尿量などの末梢灌流指標を改善させる。
輸液チャレンジ: 初期に少量の輸液を急速投与し、血圧反応を評価する「輸液チャレンジ」は、過剰な輸液を避けるために有効な戦略です。

輸液療法は、あくまで初期対応であり、反応が見られない場合や血圧低下が重度である場合は、次のステップとして昇圧剤の導入を検討します。患者の循環状態、心機能、腎機能、そして低血圧の原因を総合的に評価し、最適な輸液管理計画を立てることが重要です。

6. 昇圧剤の薬理作用と分類:犬と猫での基本的な考え方

輸液療法で改善が見られない、あるいは心筋収縮力低下や血管拡張が低血圧の主因である場合、昇圧剤(Vasopressors/Inotropes)の投与が不可欠になります。昇圧剤は、自律神経系の特定の受容体に作用することで、血管収縮、心筋収縮力増加、心拍数増加などの効果を発揮し、血圧を上昇させます。

6.1. 自律神経系受容体の理解

昇圧剤の作用機序を理解するためには、アドレナリン受容体(アドレナリン作動性受容体)の役割を知ることが重要です。
α1受容体:
作用: 主に血管平滑筋に存在し、刺激されると強力な血管収縮を引き起こします。これにより全末梢血管抵抗(SVR)が増加し、血圧が上昇します。
分布: 全身の細動脈、細静脈。
β1受容体:
作用: 主に心臓(心筋、刺激伝導系)に存在し、刺激されると心筋収縮力(陽性変力作用)と心拍数(陽性変時作用)を増加させます。これにより心拍出量(CO)が増加し、血圧が上昇します。
分布: 心臓。
β2受容体:
作用: 主に気管支平滑筋や骨格筋の血管平滑筋に存在し、刺激されると気管支拡張や血管拡張を引き起こします。昇圧作用とは逆の作用を示すため、昇圧剤としては一般的に望ましくない作用です。
分布: 気管支、骨格筋血管、消化管。
ドパミン受容体(D1, D2):
作用: D1受容体は腎臓、腸管、冠動脈などの血管に存在し、刺激されると血管拡張を引き起こします。D2受容体は神経末端に存在し、ノルエピネフリン放出を抑制します。
分布: 腎臓、消化管、冠動脈、中枢神経系。

6.2. 昇圧剤の分類

昇圧剤は、主にカテコールアミン系(アドレナリン作動薬)と非カテコールアミン系に分けられます。カテコールアミン系は、上記のアドレナリン受容体に対する作用の選択性によってさらに分類されます。

6.2.1. 主なカテコールアミン系昇圧剤

α1アゴニスト主体: 血管収縮作用が主。
フェニレフリン (Phenylephrine): 純粋なα1アゴニスト。
ノルエピネフリン (Norepinephrine): α1作用が強く、β1作用も持つ。
β1アゴニスト主体: 心収縮力増加作用が主。
ドブタミン (Dobutamine): 主にβ1作用。弱いβ2、α1作用も持つ。
混合型(α1, β1, β2作用):
エピネフリン (Epinephrine): α1, β1, β2作用。
ドパミン (Dopamine): 用量依存的にD1, β1, α1作用。
間接作用型:
エフェドリン (Ephedrine): ノルエピネフリン放出促進により、α1, β1, β2作用。

6.2.2. 非カテコールアミン系昇圧剤

バソプレシン (Vasopressin): V1受容体(V1a)を介して強力な血管収縮作用。

6.3. 犬と猫における昇圧剤選択の基本的な考え方

犬と猫では、同じ昇圧剤であっても受容体分布の差異、代謝速度の違い、特定の疾患への罹患率の違いなどから、その効果や副作用の発現に違いが見られることがあります。

循環動態の評価に基づく選択:
血管拡張が主因の低血圧(例:敗血症性ショック、麻酔薬による血管拡張): α1作用が強いノルエピネフリンやフェニレフリンが第一選択となることが多いです。バソプレシンも有効な選択肢となります。
心筋収縮力低下が主因の低血圧(例:心原性ショック、重度の心筋抑制): β1作用が強いドブタミンが第一選択となります。
両方の要素が絡む場合: ドパミンやノルエピネフリンなど、複数の受容体に作用する薬剤が検討されます。

心拍数への影響:
徐脈を伴う低血圧: β1作用を持つドパミン、ドブタミン、エフェドリンは心拍数を増加させる可能性があります。フェニレフリンは反射性徐脈を引き起こすことがあります。
頻脈を伴う低血圧: β1作用を強く持たないフェニレフリンやバソプレシンが選択されることがあります。ノルエピネフリンは頻脈を悪化させにくい傾向があります。

特定の疾患への配慮:
猫の肥大型心筋症(HCM): 心拍数増加や心筋酸素消費量の増加は避けるべきであるため、β1作用が強い薬剤(ドブタミンなど)の使用は慎重に行う必要があります。血管収縮作用を持つノルエピネフリンやフェニレフリンが選択されることがあります。
犬の僧帽弁閉鎖不全症: 心機能の評価に基づき、心拍出量を改善させるドブタミンや、血管拡張性の低血圧にはノルエピネフリンを検討します。

用量設定と反応のモニタリング:
昇圧剤は強力な薬剤であり、少量から開始し、効果と副作用を注意深くモニタリングしながら用量を調整する「滴定」が基本です。
犬と猫では体重あたりの推奨用量が異なることが多いため、それぞれの種に適した用量を使用することが必須です。

昇圧剤の選択は、低血圧の病態生理、患者の基礎疾患、心拍数、そして使用可能なモニタリングツールを総合的に考慮して行われるべきです。単一の薬剤で十分な効果が得られない場合や、複数の病態が重なっている場合には、複数の昇圧剤を併用する「マルチモーダルアプローチ」も検討されます。

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