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犬の急性出血性下痢、どの治療法が一番効果的?

Posted on 2026年4月10日

4. AHDS治療の基盤:不可欠な支持療法と緊急管理

AHDSの治療において、最も重要な柱となるのは支持療法です。AHDSの病態生理が示すように、脱水、循環血液量減少、電解質不均衡、そして全身性炎症反応が主要な問題であるため、これらの生理学的異常を是正し、身体機能を安定させることが治療の最優先事項となります。

輸液療法:電解質補正と循環維持

輸液療法は、AHDS治療の最も基本的な、かつ最も重要な要素です。AHDSの犬は、嘔吐と下痢により大量の体液と電解質を失い、重度の脱水と循環血液量減少に陥っています。これを速やかに補正し、循環を維持することが生命維持に直結します。

初期輸液の選択と速度

初期の輸液には、乳酸リンゲル液(Lactated Ringer’s Solution, LRS)や酢酸リンゲル液などの平衡電解質溶液が一般的に選択されます。これらは体液の電解質組成に近い性質を持ち、脱水と電解質不均衡の補正に効果的です。
輸液速度は、脱水の程度、ショックの有無、心臓の状態によって大きく異なります。ショック状態にある犬では、急速輸液(ショック量:体重1kgあたり60~90mlを最初の15~20分で投与)を考慮する必要がありますが、循環過負荷のリスクも考慮し、慎重に行うべきです。通常、重度の脱水に対しては、初期の数時間で脱水量を補正する速度で輸液を行い、その後は維持量と持続的な喪失量を加味した速度に調整します。正確な輸液量の計算には、脱水率、体重、持続的な損失(嘔吐・下痢)、維持量の全てを考慮する必要があります。

電解質異常の補正

AHDSでは、しばしば低カリウム血症が認められます。これは、嘔吐や下痢によるカリウムの喪失、および輸液による希釈効果によって引き起こされます。低カリウム血症は、不整脈や消化管の運動低下(イレウス)を引き起こす可能性があるため、輸液に塩化カリウムを添加して補正する必要があります。血清カリウム値を頻繁にモニタリングし、目標値(一般的には3.5~5.0 mmol/L)を維持するようにカリウムの補充量を調整します。
その他の電解質(ナトリウム、クロール、カルシウム)についても異常が見られることがありますが、多くの場合、輸液と循環改善によって自然に是正されます。しかし、重度の異常が続く場合は、個別の補正を検討します。

輸液療法のモニタリング

輸液療法中は、患者の状態を注意深くモニタリングすることが不可欠です。PCV/TS、血糖値、電解質、腎機能指標を定期的に測定し、必要に応じて輸液の種類や量を調整します。身体検査においては、脱水度、粘膜の色、毛細血管再充填時間(CRT)、心拍数、脈拍、尿量、体温などを頻繁に評価します。過剰な輸液は、肺水腫や胸水、腹水などの循環過負荷を引き起こす可能性があるため、特に心疾患のある患者では注意が必要です。

制吐剤の使用:吐き気の管理

嘔吐は、AHDSの犬において脱水と電解質喪失を悪化させるだけでなく、患者の苦痛を増大させ、経口薬や経口栄養の摂取を妨げます。そのため、制吐剤の使用は非常に重要です。

主要な制吐剤

マロピタント(セレニア): 神経ペプチド1(NK1)受容体拮抗薬であり、嘔吐中枢および末梢の化学受容体引き金帯(CRTZ)の両方に作用することで、幅広い原因による嘔吐に強力な効果を発揮します。AHDSにおいても第一選択薬として広く用いられています。注射剤と経口剤があり、頻繁な嘔吐がある場合は注射剤が優先されます。
オンダンセトロン(ゾフラン): 5-HT3受容体拮抗薬であり、特に化学療法誘発性嘔吐やパルボウイルス感染症による嘔吐に有効性が示されています。AHDSに対しても、マロピタントが不十分な場合や併用療法として使用されることがあります。
メトクロプラミド(プリンペラン): ドパミン拮抗作用とセロトニン拮抗作用を持ち、胃の運動を促進し、吐き気を抑えます。持続静脈内投与(CRI)で投与すると、その効果はより安定します。しかし、中枢神経系の副作用(興奮など)に注意が必要です。

適切な制吐剤の使用により、嘔吐をコントロールし、患者の快適性を向上させるとともに、経口栄養の早期導入を可能にします。

鎮痛剤の使用:疼痛管理

AHDSの犬は、激しい腹痛を伴うことが多く、この痛みはストレスとなり、回復を遅らせる可能性があります。適切な鎮痛剤の使用は、動物の苦痛を和らげ、回復を促進するために重要です。

推奨される鎮痛剤

オピオイド系鎮痛剤: ブトルファノール、フェンタニル、ブプレノルフィンなどが一般的に使用されます。これらの薬剤は、優れた鎮痛効果を持ち、比較的安全に使用できます。特にブトルファノールは、軽度から中程度の疼痛に有効であり、鎮静作用も期待できます。フェンタニルの持続点滴は、より重度の疼痛管理に有効です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 一般的に、脱水や腎機能低下のある患者では、腎血流への影響を考慮してNSAIDsの使用は推奨されません。ただし、輸液によって十分な循環が確立され、腎機能が正常であることが確認された場合に限り、炎症と疼痛の管理のために慎重に検討されることがあります。

鎮痛剤は、患者の痛みや不快感を軽減し、ストレス反応を抑えることで、全体的な回復をサポートします。

栄養管理:早期栄養導入の重要性

以前は、消化管を休ませるために絶食させるのが一般的でしたが、近年では、AHDSのような重症消化器疾患においても、早期の栄養導入が推奨されています。消化管の早期栄養導入は、腸管上皮細胞の萎縮を防ぎ、腸管バリア機能を維持し、免疫機能をサポートする上で重要です。

経腸栄養の選択肢

経口摂取: 嘔吐がコントロールされ、食欲がある場合は、低脂肪・高消化性の療法食を少量頻回で与えることから始めます。
鼻胃管・食道瘻チューブ: 経口摂取が困難な場合、鼻胃管や食道瘻チューブを設置し、液体の栄養食を少量ずつ持続的に、または頻回に投与します。これにより、消化管の機能を維持し、腸内細菌叢のバランス回復にも寄与すると考えられています。
非経口栄養(TPN/PPN): 重度の消化管機能不全や持続的な嘔吐があり、経腸栄養が全く不可能な場合に、一時的に考慮されます。しかし、高コストであり、感染や代謝合併症のリスクがあるため、最終手段として検討されます。

早期栄養導入は、腸管の機能回復を促進し、全身の栄養状態を改善することで、AHDSからの回復を早める重要な要素です。

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