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犬の血栓、エコー検査でどこまでわかる?

Posted on 2026年4月4日

エコー検査による血栓の直接的検出:形態学的特徴と検出の限界

エコー検査は、血管内の血栓を直接視覚化できる強力なツールですが、その検出には血栓の様々な形態学的特徴を理解することが不可欠です。

血栓の形態学的特徴

エコー輝度(Echogenicity):血栓のエコー輝度は、その組成(フィブリン、血小板、赤血球の割合)や形成からの時間経過によって変化します。
急性血栓:多くの場合、周囲の血液(無エコーまたは低エコー)よりも高エコー(明るく白く)に描出されます。これは、凝固したフィブリンや細胞成分が超音波を強く反射するためです。しかし、非常に新鮮な血栓は、周囲の血液とほとんど区別がつかない等エコーまたは低エコーとして描出されることもあり、特に注意が必要です。
慢性血栓:時間が経過すると、血栓は線維化や石灰化を起こすことがあります。線維化した血栓は不均一なエコー輝度を示すことが多く、石灰化を伴う場合は非常に強い高エコーとして、音響陰影(後方に超音波が透過しない領域)を伴って描出されることもあります。
均一性:血栓は、均一な内部エコーを持つこともあれば、内部に低エコー領域や高エコー領域が混在する不均一なエコー像を示すこともあります。不均一性は、血栓が成長する過程で新たな血液成分が組み込まれたり、部分的に溶解したりすることを示唆する場合があります。
形状と大きさ:血栓の形状は様々で、細長いもの、卵円形のもの、不規則な塊状のものなどがあります。血管の形状に沿って伸びることもあれば、特定の部位に付着して成長することもあります。大きさはミリメートル単位の微小なものから、血管を完全に閉塞するような巨大なものまで存在します。正確な大きさを測定することは、治療方針の決定や予後評価に役立ちます。
血管内での位置と付着:血栓は、血管壁に付着している「壁在血栓」として描出されることもあれば、血管内を自由に動き回る「遊離血栓」として描出されることもあります。遊離血栓、特に心臓内で見られるものは、剥がれて末梢血管に塞栓するリスクが高く、緊急性の高い所見です。血管壁への付着の程度や、血管内腔のどの程度を占めているかを評価することは重要です。
可動性:血栓が心拍や呼吸に伴って揺れ動くことがあります。特に、心臓内の血栓や大きな静脈内の血栓で観察されることがあります。可動性のある血栓は、剥がれて塞栓症を引き起こすリスクが高いと考えられます。

血流との相互作用(ドプラモードの活用)

Bモードで血栓を検出したら、カラードプラやパワードプラを用いて血流との相互作用を評価します。
血流欠損:血栓が血管を完全に閉塞している場合、カラードプラでは血栓のある領域に血流シグナルが全く検出されません。これは血管閉塞の直接的な証拠となります。
血流の変化:部分的に血管が閉塞している場合、血栓の周囲で血流速度の増加(狭窄による)や乱流(色調のモザイクパターン)が観察されることがあります。これは血栓による血流障害の程度を示す重要な情報です。
側副血行路:慢性的な血管閉塞の場合、閉塞部位を迂回する側副血行路が発達していることがあります。エコー検査でこれらの側副血行路の存在や血流を評価することも、血栓症の診断と病態把握に役立ちます。

検出の限界と落とし穴

エコー検査による血栓の直接検出には、いくつかの限界と落とし穴が存在します。
微小血栓の検出困難性:ミリメートル単位の非常に小さな血栓は、エコー装置の分解能の限界や、周囲の血液とのコントラストが不明瞭であるために検出が困難な場合があります。特に肺の微小血管内の血栓は、エコー検査ではまず検出できません。
等エコーまたは低エコー血栓:非常に新鮮な血栓や、一部の組成の血栓は、周囲の血液とエコー輝度が近いため、Bモードでは見落とされやすいことがあります。カラードプラによる血流欠損や変化が唯一の手がかりとなる場合もあります。
アーチファクト(偽血栓):エコー検査では、様々なアーチファクトが発生し、血栓と誤認されることがあります。
リバーブレーションアーチファクト:超音波が特定の構造物(カテーテル、血管壁の石灰化など)に複数回反射することで、本来ない場所にエコー像が出現する現象です。
スライスタークネスアーチファクト:超音波ビームが厚い場合に、本来ビーム外にある構造物のエコーが混入して見える現象です。
シュラウドアーチファクト:カラードプラのゲインが高すぎる場合や、組織の動きによって血流シグナルが過剰に表示され、血栓と誤認されることがあります。
消化管ガスによる妨害:消化管内のガスは超音波を強く反射・吸収するため、その奥にある血管や臓器の血栓は観察が非常に困難になります。特に、門脈血栓症や腎静脈血栓症の一部で問題となります。
術者の技量依存性:エコー検査の診断精度は、術者の経験と技量に大きく依存します。適切なプローブの選択、走査方法、画像調整(ゲイン、深度、ダイナミックレンジなど)が、血栓の検出率と診断の正確性を左右します。

これらの限界を認識し、臨床症状、他の血液検査データ(D-ダイマーなど)、および必要に応じて他の画像診断モダリティ(CT、MRI)と組み合わせることで、より正確な診断が可能となります。

エコー検査による血栓症の間接的所見:血管と血流の変化

血栓そのものを直接検出できない場合や、血栓の臨床的意義を評価する上で、エコー検査は血栓によって引き起こされる血管および血流の変化を捉えることで、間接的に血栓症を示唆する重要な情報を提供します。これらの間接的所見は、特に微小血栓や、超音波が届きにくい部位の血栓において診断の手がかりとなります。

血管の変化

血管拡張(Dilatation):血栓が形成されて血流が障害されると、閉塞部位よりも上流(心臓側)の血管が、血液のうっ滞により拡張することがあります。例えば、門脈血栓症では、閉塞部位よりも上流の門脈本幹や分枝が拡張し、その壁が肥厚することがあります。また、肺血栓塞栓症では、肺動脈圧の上昇に伴い、右心系(右心房、右心室、肺動脈主幹)が拡張する所見が観察されることがあります。
血管狭窄(Stenosis):血栓によって血管内腔が部分的に狭窄する場合、その部位で血流の加速や乱流が発生します。慢性的な血栓症では、血管の線維化や血管壁の肥厚を伴う狭窄が見られることもあります。
血管壁の肥厚(Wall thickening):慢性の炎症や血栓症に伴い、血管壁が反応性に肥厚することがあります。これは、血管炎や慢性的な血流変化に対する血管の適応反応として現れます。
側副血行路の発達(Collateral circulation):長期にわたる血管の閉塞や狭窄がある場合、閉塞部位を迂回して血流を確保するための側副血行路が発達することがあります。エコー検査でこれらの側副血行路を特定し、その血流を評価することは、血栓症の慢性化と血流動態の代償機構を理解する上で重要です。例えば、門脈血栓症では、胃脾静脈やその他の腹腔内血管の拡張した側副血行路が確認されることがあります。

血流の変化(ドプラモードによる評価)

血流速度の低下または消失(Decreased or absent flow):血栓によって血管が閉塞している場合、閉塞部位の末梢側では血流が大幅に低下するか、完全に消失します。カラードプラやパワードプラで血流シグナルが検出されない、あるいは非常に弱い場合は、血栓による完全または高度な閉塞を示唆します。
血流速度の増加(Increased flow velocity):血管が部分的に狭窄している場合、狭窄部位では血流が加速します。パルスドプラを用いて狭窄部位の血流速度を測定し、健常部位と比較することで、狭窄の程度を定量的に評価できます。高い血流速度は、有意な狭窄を示唆します。
乱流(Turbulence):狭窄部位を通過する血流は、層流ではなく乱れた流れ、すなわち乱流となります。カラードプラでは、乱流は様々な色(モザイクパターン)として描出され、これは血栓による血管内腔の不均一性や狭窄を示唆する重要な所見です。
血流方向の変化(Altered flow direction):血栓による血流障害や側副血行路の発達により、本来の血流方向が変化したり、逆流が生じたりすることがあります。例えば、門脈血栓症では門脈内の血流が逆流したり、側副血行路を通して肝臓外へ血流が向かったりする所見が見られることがあります。
抵抗指数の上昇(Increased Resistive Index, RI):特に臓器の動脈(腎動脈、肝動脈など)において、遠位の血栓による血流抵抗の上昇があると、ドプラ波形における抵抗指数(RI)が上昇することがあります。これは、末梢血管床の血流障害を間接的に示唆します。

周囲組織への影響

臓器梗塞:血栓によって特定の臓器の血管が閉塞された場合、その臓器は虚血に陥り、梗塞を起こします。エコー検査では、梗塞を起こした臓器の局所的なエコー輝度の変化(低エコー化、高エコー化、不均一化)や、構造の異常(壊死、腫大)を検出することができます。例えば、腎梗塞では、腎皮質の局所的な低エコー域として描出されることがあります。
浮腫:血栓による静脈うっ滞は、 affected 臓器や組織に浮腫を引き起こすことがあります。エコー検査では、組織の低エコー化や、液体貯留(腹水、胸水など)として間接的に血栓症を疑う所見となることがあります。

これらの間接的所見は、血栓そのものが描出されなくても、血栓症の存在を強く示唆する手がかりとなります。特に、カラードプラやパルスドプラによる血流評価は、血栓の診断において非常に重要な役割を果たします。しかし、これらの所見は他の病態(例えば、腫瘍による圧迫、炎症による血管狭窄など)によっても引き起こされる可能性があるため、診断は総合的に行う必要があります。

特殊な血栓症とエコー検査の適用:心臓、肺、大動脈、門脈

犬の血栓症は、その発生部位によって臨床症状や診断アプローチが大きく異なります。エコー検査は、体内の様々な部位における血栓症の診断において、その特性を活かして重要な情報を提供します。

心臓内血栓

心臓内血栓は、心臓病(特に拡張型心筋症、僧帽弁閉鎖不全症に伴う左心房拡大、心房細動など)に合併して発生することがあります。主に左心房内に形成され、体循環へと塞栓するリスクがあります。
エBモード:左心房内、特に左心耳や心房中隔に沿って形成される血栓は、高エコーまたは不均一なエコー像として検出されます。可動性を持つ血栓は、遊離血栓や浮遊血栓と呼ばれ、末梢塞栓のリスクが非常に高いため、緊急の治療を要します。弁膜に付着する血栓(Vegetation)は、感染性心内膜炎を示唆することもあります。
カラードプラ:心内腔の血流シグナルの欠損や、血栓周囲の血流パターンの変化を評価します。特に、左心房内のスモーク状エコー(Spontaneous Echo Contrast, SEC)は、血流のうっ滞が高度であることを示し、血栓形成の強いリスク因子とされています。SECは、Bモードで微細な粒子状エコーが渦を巻くように見える現象で、低速血流下での赤血球の凝集やフィブリン形成の初期段階を反映していると考えられています。
Mモード:心房壁や血栓の動きを評価し、血栓の可動性を確認することができます。

肺血栓塞栓症(PTE)

PTEは、他の部位で形成された血栓が肺動脈に到達し、肺血管を閉塞する致死的な病態です。IMHA、クッシング症候群、蛋白漏出性腎症など多くの基礎疾患に併発します。
エコー検査による直接診断:肺動脈内の大きな血栓は、Bモードで直接検出されることがあります。しかし、肺動脈は通常、心臓の奥深くに位置し、また、肺野にガスが多く含まれるため、描出が困難な場合が多いです。また、微小な肺動脈枝の血栓はエコー検査では検出できません。
エコー検査による間接診断:PTEの診断においては、右心系の変化を評価することがより一般的で重要です。
右心拡張と機能不全:PTEにより肺動脈圧が急激に上昇すると、右心室に大きな負荷がかかり、右心室および右心房の拡張が見られます。右心室の収縮能の低下や、心室中隔の左方偏位(D-shaped left ventricle)も、重度のPTEを示唆する所見です。
三尖弁逆流圧勾配の上昇:三尖弁逆流のドプラシグナルを用いて、右心室収縮期圧(および推定肺動脈収縮期圧)を算出できます。PTEにより肺高血圧が生じている場合、この圧勾配が上昇します。
肺動脈の血流変化:肺動脈のパルスドプラ波形において、加速度時間の短縮や、肺動脈弁の「ノッチング」といった変化が観察されることがあります。これらは肺高血圧症の指標となります。

大動脈血栓塞栓症(ATE)

犬のATEは、心臓内(特に左心房)で形成された血栓が全身の大動脈、特に大動脈分岐部から後肢の末梢動脈に塞栓し、後肢の虚血を引き起こす病態です。猫のATEが有名ですが、犬でも発生します。
エBモード:大動脈分岐部や腸骨動脈、大腿動脈などの末梢動脈内に、高エコーまたは不均一なエコー輝度を持つ血栓が検出されます。血栓によって血管が閉塞している様子が描出されます。
カラードプラ:血栓の存在する領域で血流シグナルが完全に欠損するか、著しく低下していることが確認されます。血栓の末梢側の動脈では血流が消失しており、これは重度の虚血を示唆します。
パルスドプラ:血栓の末梢側の動脈で血流波形が消失するか、非常に弱く、抵抗の高い波形(高抵抗性)を示すことがあります。

門脈血栓症

門脈血栓症は、門脈内で血栓が形成され、肝臓への血流障害や門脈圧亢進を引き起こす病態です。クッシング症候群、膵炎、蛋白漏出性腸症、肝疾患、悪性腫瘍などに併発します。
Bモード:門脈内腔に、高エコーまたは不均一なエコー像を持つ血栓が検出されます。門脈本幹だけでなく、肝臓内の門脈分枝や脾静脈、腸間膜静脈にも血栓が広がる可能性があります。血栓が慢性化すると、門脈が狭窄したり、線維化したりすることもあります。
カラードプラ:血栓のある領域で血流シグナルが欠損するか、著しく低下していることが確認されます。門脈内の血流方向が変化(逆流)したり、乱流が発生したりすることもあります。
パルスドプラ:門脈血流の速度が低下したり、正常な波形パターンが失われたりする所見が見られます。門脈圧亢進がある場合、脾静脈や胃静脈などの側副血行路の拡張と血流が観察されることがあります。

その他の血栓症

腎静脈血栓症:蛋白漏出性腎症に合併することがあります。腎静脈内に血栓が検出され、腎臓が腫大し、皮質エコーの異常が認められることがあります。
下大静脈血栓症:下大静脈内に血栓が検出され、後肢の浮腫や腹水などを引き起こすことがあります。
カテーテル関連血栓症:中心静脈カテーテルなどが留置された血管周囲に血栓が形成されることがあります。

これらの特殊な部位における血栓症の診断において、エコー検査はそれぞれの解剖学的特性と病態生理に基づいた適切なアプローチが求められます。特に、ドプラモードによる血流評価は、血栓の臨床的意義や血流障害の程度を把握する上で極めて重要です。

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